検査技師としての経験しか無いから、異業種で採用されるか不安…
「他の業種で働きたいけど、自信がない」と思う方もいらっしゃるのではないでしょうか。医療現場で働いた経験しかない場合、異業種で働くことをイメージしにくいですよね。
そこで本記事では、検査技師が異業種転職を成功させるコツなどをご紹介します。
臨床検査技師は他業種へ転職できる?
他業種への転職は可能
検査技師から異業種への転職は難しいと言われていますが、一般企業に転職することも可能です。
なぜなら、転職市場には未経験者を歓迎する求人案件は多く、検査技師で培ってきたスキルや経験の中には異業種で活かせる求人も多いからです。
臨床検査技師が他業種への転職を考える4つの理由
1.体力的・肉体的な負担が大きい
臨床検査技師は定期的に夜勤や日勤業務があります。そのため、身心共に負担が大きいです。
2.長時間労働によりプライベートとの両立ができない
仕事とプライベートの両立は自身の心の安定や健康にとって必要不可欠です。
しかし、看護師は夜勤があることもあり、その忙しさやストレスによる疲労から体調を崩してしまうこともあります。
3.人間関係のトラブル
看護師は患者の命に関わる分、スタッフ同士の指示や指導が厳しくなることもあります。
4.他にやりたいことが見つかった
実際に働く上で自分のやりたいことが変わることは珍しいことではありません。
やりたいことが既に明確であれば、そのために今何をすべきか逆算して考え、計画的に転職を考える必要があるでしょう。
臨床検査技師が他業種に転職するメリット
臨床検査技師が他業種に転職する3つのメリットを紹介します。
規則正しい生活を送れる
日勤の仕事に転職すれば、規則正しい生活を送ることができます。
「夜勤で自律神経が乱れて疲れが取れない」といったこともなくなるでしょう。
他の業務経験を積める
業種が違えば、仕事内容も全く異なります。新しい業務に挑戦することで、また新しいスキルを身に付けて自分のできる仕事を増やすことができます。
さらに、新しい環境に身を置くことで看護師として働いていた時とは違う新鮮な感覚を味わうことができるでしょう。
肉体的・精神的負担が減る
検査技師の仕事は患者さんの命に関わる仕事です。そのため、常に大きな責任と共にあります。
しかし、異業種に転職しこれまでの責任感やプレッシャーから解放されれば、今までより仕事が楽に行えます。
臨床検査技師が他業種に転職するデメリット
給料が減る可能性がある
検査技師の平均年収は厚生労働省「令和元年資金構造基本統計調査」によると「491万円」であり、日本の平均年収と比べても高い年収となっています。
そのため検査技師は高年収で安定した仕事だといえます。
しかし、新しい企業に転職する場合、職種にもよりますが収入が減る可能性があります。
全て1からのスタート
現在検査技師として働いている方は、試験に合格して資格を取得するなど、検査技師になるために多くの時間を費やしてきたはずです。
しかし、新たに他業種に転職する場合、また1から業務を覚える必要があります。
慣れない業務・環境でも向上心をもって仕事することが必要です。
検査技師として復帰が難しくなる
検査技師以外の職で働いてしまうとブランクが大きくなるので、検査技師に戻りたいと思った場合に転職するのが難しくなる場合があります。
他業種への転職を考える前に、勤務先を変えて検査技師を続けることは可能かということも考えておくと良いでしょう。
検査技師におすすめの転職先
検査技師とは全く異なる他業種へのおすすめの転職先について紹介します。
営業職
- 年収アップや昇進のチャンスが多い
- 特別な資格などは必要ない
検査技師と同じく人と関わる仕事で、コミュニケーションが仕事の中心であるという共通点があります。また、営業職では顧客に向けて最適な提案をする必要があり、検査結果をチェックし瞬時に的確な判断を必要とする検査技師はその経験が生かせるのではないでしょうか。
メリット | デメリット |
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特別な資格が不要なため経験求人も多い コミュニケーション力が伸びる 成果を出せば高い給与水準になる | 移動や出張が多く、体力や時間管理が必要 成果に応じて給料が変わる場合が多い |
ヘルスケアIT企業
- 検査技師のスキルが評価される
- 職種未経験でも採用してもらえる
メリット | デメリット |
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検査技師としての経験が重視される 未経験職種でも採用されやすい 業界的に給与水準が高い | 移高い専門性を求められる場合がある 業務を1から覚える必要がある |
ヘルスケアIT企業では、電子カルテシステムや医療情報システムの開発、導入、サポートなどを行っています。臨床検査技師の医療現場での経験と知識は、これらのシステム開発におけるユーザー目線でのニーズ把握やシステム設計に役立ちます。
また、臨床検査データの管理や解析に関わるポジションもあります。ヘルスケアITの知識を身につけることで、将来的にはプロジェクトマネージャーやコンサルタントとしてのキャリアも目指せます。
治験コーディネーター
- 検査技師の経験や知識を活かしやすい
メリット | デメリット |
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検査技師の経験を活かせる コミュニケーション力が伸びる 成果を出せば高い給与水準になる | 調整業務が性格的に合わない人が多い |
治験コーディネーターは、新薬の開発において行われる治験を調整する職種です。
病院や製薬会社と患者の関係を取り持ち、治験をスムーズに実施する必要があるため、検査技師の知識や経験を活かしやすい仕事といえます。
各企業との調整力が求められるため、マネージメント経験などがあると治験コーディネーターへの転職はさらに有利でしょう。
事務職
- 売上を求められる訳ではないため、業務のプレッシャーが少ない
メリット | デメリット |
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残業が少なく労働時間が短い 初歩的なPCスキルが身につく | 給与が下がる可能性がある 正社員で登用してもらえない可能性がある |
一般事務職では、書類作成、データ入力、電話対応、スケジュール管理など、幅広い業務に携わります。臨床検査技師として培った正確さ、注意力、コミュニケーション能力は、事務職でも高く評価されるスキルです。
一般事務職では比較的定時で働けることが多いです。仕事と私生活の両立を目指す方にとって、魅力的な選択肢と言えます。
健診センター
- 臨床検査技師の医学的知識を活かせる
メリット | デメリット |
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検査技師の経験を活かせる 比較的定時で働ける | 夜勤等がなく、給与が下がる可能性がある コミュニケーションが苦手な人には向かない |
健診センターは、患者さまの病気を調べるのではなく、対象者の健康状態を検査することに特化した施設です。企業が定期的に行う健康診断などは、基本的にこの健診センターが対応しています。
多くの受診者を対象に効率的かつ正確に検査を実施する必要があります。臨床検査技師の経験を活かして、検査の標準化や精度管理に取り組むことで、健診センターの質の向上に貢献できます。
検査技師が他業種に転職する方法
臨床検査技師から他業種に転職する方法は、大きく分けて2つあります。
企業の公式ホームページから
公式ホームページから転職する場合は、自分で気になる企業や求人を探して応募する必要があります。この方法のメリットは、自分の希望に合った企業や求人を見つけやすいことです。また、応募先の企業の情報や雰囲気を直接確認できることもあります。
しかし、この方法のデメリットは、応募先の企業が臨床検査技師のスキルや経験を評価してくれるかわからないことです。また、応募書類や面接の対策も自分で行わなければなりません。
転職サイト・転職エージェントから
転職サイト・転職エージェントから転職する場合は、自分のプロフィールや希望条件を登録しておくと、担当者が適切な企業や求人を紹介してくれます。この方法のメリットは、臨床検査技師のスキルや経験を活かせる企業や求人を見つけやすいことです。また、応募書類や面接の対策も担当者がサポートしてくれることもあります。
しかし、この方法のデメリットは、登録した転職サイト・転職エージェントによって紹介される企業や求人の質が異なることです。また、担当者との相性も重要になります。
併用がおすすめ
私の見解としては、臨床検査技師から他業種に転職する場合は、公式ホームページと転職サイト・転職エージェントの両方を利用するのがおすすめです。
公式ホームページでは自分で興味のある企業や求人を探し、転職サイト・転職エージェントでは担当者に相談しながら応募先を絞り込むという方法です。これにより、より多くの選択肢が得られると思います。
検査技師から他業種へ転職した人の自己PR
正確性の高さ
臨床検査技師は、検体の分析や管理において、正確性が求められる仕事です。検査結果によって、医師の診断や治療方針が決まるため、ミスや遅延は許されません。そのため、臨床検査技師は、以下のようなスキルを身につけます。
- 検査機器の操作やメンテナンスに関する知識や技術
- 検体の種類や特性に関する知識や判断力
- 検査結果の記録や報告に関するルールやマナー
これらのスキルは、他業種でも活かせるものです。例えば、IT・Web業界では、システムやアプリの開発やテストに正確性が必要です。教育・研修業界では、教材やカリキュラムの作成や評価に正確性が必要です。コンサルティング業界では、データや情報の収集や分析に正確性が必要です。このように正確性の高さをアピールすることで、信頼性を高めることができます。
責任感の強さ
臨床検査技師は、医療現場で重要な役割を担う仕事です。患者さんの命や健康に関わることも多いため、責任感が強くなります。そのため、臨床検査技師は、以下のような姿勢を持ちます。
- 自分の仕事に対して誠実で責任を持つ
- チームワークやコミュニケーションを大切にする
- 常に学び続けてスキルや知識を向上させる
これらの姿勢も、他業種でも活かせるものです。例えば、医療機器メーカーや薬剤メーカーでは、製品の安全性や効果に責任を持つことが求められます。研究機関では、研究の目的や意義に責任を持つことが求められます。教育・研修業界では、受講者の学習や成長に責任を持つことが求められます。
検査技師が他業種への転職を成功させるためのコツ
臨床検査技師から他業種へ転職するためには、以下のようなコツがあります。
下調べを入念に行う
他業種に転職する場合は、自分が興味や関心のある分野や企業を調べることが大切です。自分がどんな仕事に向いているか、どんなスキルや知識が必要か、どんな市場や需要があるかなどを把握することで、自分の目標や方向性を明確にできます。また、自分の強みや弱みを客観的に分析することも重要です。例えば、私は以下のように下調べを行いました。
- 化粧品・医療用品・食品などの製造・開発・品質管理の分野に興味があったので、インターネットや書籍でその分野の動向や求人情報を調べた
- 自分の持っている臨床検査技師としてのスキルや知識を整理し、それらが他業種でも活かせるかどうかを考えた
- 自分の性格や価値観に合った企業文化や働き方を探した
資格取得の勉強
他業種に転職する場合は、その分野で必要とされる資格や知識を取得することが有利です。資格や知識を取得することで、自分のスキルアップや適性を証明することができます。また、勉強する過程で、その分野に関する専門用語や最新情報などを身につけることができます。例えば、私は以下のように資格取得の勉強を行いました。
- 化粧品・医療用品・食品などの製造・開発・品質管理の分野では、GMP(医薬品等の製造管理及び品質管理基準)やISO(国際標準化機構)などの規格や基準に関する知識が必要だと知ったので、それらに関する資格試験に挑戦した
- その分野で活躍している人や企業のブログやSNSなどをフォローして、最新のトレンドやニーズなどをキャッチアップした
未経験歓迎の求人を探す
他業種に転職する場合は、未経験でも応募できる求人を探すことがおすすめです。未経験でも応募できる求人は、その分野に興味や意欲がある人を求めていることが多いです。また、未経験でも応募できる求人は、入社後に研修や教育を受けられることが多いです。例えば、私は以下のように未経験歓迎の求人を探しました。
- インターネットや雑誌などで、未経験歓迎のキーワードで検索した
- 転職サイトや転職エージェントに登録して、未経験歓迎の求人を紹介してもらった
転職エージェントの活用
他業種に転職する場合は、転職エージェントの活用も有効です。転職エージェントは、自分に合った求人を紹介してくれるだけでなく、履歴書や職務経歴書の作成や面接の対策などもサポートしてくれます。また、転職エージェントは、自分では知らない非公開の求人や企業情報なども教えてくれます。例えば、私は以下のように転職エージェントの活用を行いました。
- 転職エージェントに自分の希望や条件を伝えて、自分に合った求人を紹介してもらった
- 転職エージェントに自分の強みやアピールポイントを教えてもらって、履歴書や職務経歴書を作成した
- 転職エージェントに面接の対策やアドバイスを受けて、自信を持って面接に臨んだ
検査技師が他業種に転職する際の注意点
年収が下がる前提で考える
臨床検査技師から他業種に転職する際には、年収が下がる可能性が高いことを覚悟しておく必要があります。臨床検査技師は、医療現場で専門的な知識や技術を必要とする仕事です。そのため、年収は平均よりも高く、経験や資格に応じて上昇します。しかし、他業種では、臨床検査技師の経験や資格が評価されない場合が多く、未経験者と同じ扱いになることもあります。そのため、年収は平均よりも低く、経験やスキルを積むまで上昇しにくいです。
例えば、以下の表は、臨床検査技師と他業種の平均年収を比較したものです 。
業種 | 平均年収 |
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臨床検査技師 | 5,000,000円 |
IT・Web | 4,500,000円 |
教育・研修 | 4,000,000円 |
コンサルティング | 4,500,000円 |
医療機器メーカー | 4,800,000円 |
薬剤メーカー | 5,200,000円 |
研究機関 | 4,500,000円 |
この表からわかるように、臨床検査技師から他業種に転職すると、平均年収は下がる傾向にあります。特に、IT・Webや教育・研修などの業種では、未経験者の年収は300万円台と低いこともあります 。そのため、臨床検査技師から他業種に転職する際には、年収が下がる前提で考えることが大切です。また、年収を上げるためには、新しいスキルや資格を取得したり、実績や評価を積み重ねたりすることが必要です。
今の自分に転職が必要なのか改めて考える
転職は、自分のキャリアや人生に大きな影響を与える決断です。そのため、転職をすることで、自分は本当に幸せになれるのか、自分は本当に他業種で働きたいのか、自分は本当に今の仕事に満足していないのか、などをしっかりと考えることが必要です。
また、転職をすることで、家族や友人などの周囲の人たちにどのような影響を与えるのかも考えることが必要です。
他業種へ転職したい検査技師におすすめの転職エージェント
リクルートエージェント
リクルートエージェントは、日本最大級の転職エージェントです。 業界・職種・年代・地域・雇用形態など幅広い条件で求人を探せるのが特徴です。また、非公開求人も多く保有しており、他では見つからない求人に出会える可能性も高いです。
また、履歴書や職務経歴書の添削や面接の対策なども丁寧にサポートしてくれます。 医療・福祉業界の求人はもちろん、医療・福祉業界と関連する他業種の求人も多く紹介してくれます。
doda
dodaは、パーソルキャリアが運営する転職エージェントです。dodaは、 業界・職種・年収・勤務地など細かい条件で求人を探せる のが特徴です。また、非公開求人も豊富に保有しており、他では見つからない求人に出会える可能性も高いです。
dodaでは、専任のキャリアアドバイザーがあなたのキャリアプランや志向性をヒアリングし、あなたに合った求人を紹介してくれます。未経験でも挑戦できる求人を紹介してくれるだけでなく、転職後のフォローアップやキャリアカウンセリングなども行ってくれます。臨床検査技師から全く違う業種に挑戦したい人にもおすすめです。
マイナビエージェント
マイナビエージェントは、マイナビが運営する転職エージェントです。マイナビエージェントは、 業界・職種・年収・勤務地など細かい条件で求人を探せる のが特徴です。また、非公開求人も豊富に保有しており、他では見つからない求人に出会える可能性も高いです。 マイナビエージェントでは、専任のキャリアアドバイザーがあなたのキャリアプランや志向性をヒアリングし、あなたに合った求人を紹介してくれます。
また、履歴書や職務経歴書の添削や面接の対策なども丁寧にサポートしてくれます。 マイナビエージェントは、臨床検査技師から他業種へ転職したい人におすすめの転職エージェントです。マイナビエージェントは、 医療・福祉業界以外の幅広い業界や職種の求人に強いという評判があります。
よくある質問
- 臨床検査技師から他業種への転職をする人はどれくらいいるの?
-
臨床検査技師から他業種への転職をする人は、全体の約10%程度です。臨床検査技師は、医療系の国家資格を持っているため、医療関係の他職種に転職することは比較的容易です。
しかし、医療以外の業界に転職する場合は、自分の強みや目指すキャリアを明確にする必要があります。また、新たな資格取得や研修が必要な場合もあります。
- 他業種に転職する際、資格は取っておくべきですか?
-
資格はあれば良いですが、必須ではありません。
あくまで、異業種の採用担当者に対して「自分の価値をアピールする1つの手段」として考えておきましょう。
- 他業種への転職後、検査技師に戻ることはできますか?
-
検査技師に戻ることは可能です。ただし、超音波検査士など一部資格は定期的に更新の必要があるため、自身の資格が失効しても最悪問題ないか事前に考えておきましょう。
まとめ
この記事では、臨床検査技師から他業種へ転職することはできるのか、そしておすすめの異業種転職先を紹介しました。
臨床検査技師は、他業種でも活かせるスキルや知識を持っています。特に、営業職やIT業界や事務職などの業種では、臨床検査技師としての経験がプラスに働くことが多いです。自分の興味や適性に合わせて、自分に合った仕事を見つけてください。転職する際は、年収やリスクなども考慮することが大切です。